ブリコラ

OPEN AIR LABの象徴的空間「ブリコラ」

 「ブリコラージュ」は人類学者で哲学者のレヴィ=ストロースが用いた人間の根源的な知恵のあり方を示す言葉です。私たちは、この知恵のあり方を大切にしたいと考え,OPEN AIR LABの象徴的空間に「ブリコラ」という名前をつけました。

 ブリコラージュとは,一言で言えば「ありもの使い」の知恵のことです。しばしばエンジニアリングに対比されます。エンジニアリングは,特定の目的に対し,まず設計図を描き,最適な部品をあつらえ,無駄を省き,より完成された形を追求します。一方ブリコラージュは,目の前の問題に対し,設計図やあつらえた部品無しに,なんとか対処しようとします。例えば,森の中で予期せず夜を過ごさねばならなくなった時,急な事故や災害の時,私たちは,ありあわせの物や自然物を使ってなんとかしようとします。そして,事実,なんとかする力を持っています。

 私たちが高度な文明を作ることができたのは,エンジニアリングという知性のおかげです。しかし一方で,それは自然を支配し改変するために使われてもきました。人類が今よりももっと自然と共生していた時代からあるブリコラージュは,エンジニアリングよりも現状を改変する度合いがずっと低いやり方で問題に対応しようとします。「自然との共生」のためには,無駄があって不格好であっても,ありものをそのまま生かす私たちのもう一つの知性を解放し,使いこなしていくことが大切であると考えています。

 また,ブリコラージュは,不確実性が高まっていく時代に有効な知性でもあります。私たちは未来に何が起こるかを知りませんが,これまで経験していないことが予想もしないタイミングで起こりうる,ということは知っています。そのような不確実で予測できない未来に対して完璧な準備をするのは不可能です。大事なことは,それが実際に起こった時に,その場にあるものを使ってなんとかすること,つまりブリコラージュすることでしょう。さらにブリコラージュは全ての人間が持つ知性のあり方ですから,エンジニアリングだけでなくブリコラージュを積極的に行う社会では,多くの人の力を結集することがより容易になるとも考えられます。

ブリコラ写真集